半覚醒状態脳と禅

生体脳は睡眠中も記憶した条件要素を基に試行錯誤の計算をし続ける本能を持つ。脳がその神経伝達シナプスの有機的な結合を活用してミルフィーユな計算を繰り返す速度はスーパーコンピュータの比ではない超高速なものだ。生き続ける限り繰り返され続ける脳の推論はたらればではあろうとも、現代の経済取引がスーパーコンピュータで推論計算されたものである事を鑑みれば、あながち無意味なたらればではないと結論づけられるだろう。脳の進化とはそう言う試行錯誤を繰り返した結果なされてきたものだからだ。禅に於ける「空」に至る修行は覚醒中に半覚醒状態に脳を置くことで意識外視野で得ている情報にまで踏み込んで推論を重ねようとするものである。上達すれば意識せぬアイデアに行き着く事も珍しくはないし、そのアイデアには空想の産物とは異なる具体性が見られるのだ。古来チベットの賢者達はインド経由でもたらされた大麻草の効果で半覚醒状態を作り出してまだ見ぬ未来を試行錯誤したと伝え聞く。シルクロードの隊商により持ち帰られし旅の話は大麻草の効果にも手伝われペルシア絨毯の苦行に喘ぐ婦女子の安らぎにも資した事なのだろう。ペルシア絨毯は生涯の時間をかけて織り続けるものだったので婦女子に旅行する暇など無かったのだ。閑話休題、睡眠中に脳が素晴らしい速度で試行錯誤を計算し続ける現象は神がかりなものではないと言えるのだ。